人生は奇想天外

奇想天外なできごとを何とか乗り越えてきた60代のおばちゃんの人生ブログ

衝撃の事実

当時の日本は景気も安定していて
戦後の右肩上がりの成長が続いていた。


土地は買っておけば、いずれ高くなるという神話も
人々は疑うこともなく、良く働き貯蓄をし
子供には学力をつけさせ、良い所に就職することを
第一とするような風潮にあった。


夫の会社も時代の波に乗り、順調だったようで
夫が「付き合い」で遅くなる日が多くなっていった。

 

交友関係も青年会の付き合いとかで
あちらこちらに遊びに行くようになっていき
「午前様」と言われる、午前2時、3時頃の
帰宅が多くなっていった。

 

勿論、何でこんなに遅いのか聞いたことは
あるが、「付き合いだから仕方ない」という
夫の言葉を信じることしか、その頃の私には
手だてがなかった。

 

私は家のローンの助けになればと思い
小さな塾を始めていて、時代背景の
後押しもあって繁盛していたので
私も忙しく、
夫の「午前様」も、当たり前のようになり
時がながれて行った。

 

ただ、思えば
私の中で夫に対しての不満が沸々と芽生えていて
少し苛立ちを感じていた。

 

その苛立ちは、やはり夫の帰りが「午前様」であり
子供達と3人で過ごす時間ばかりになっている
せいだと思っていたが、妻の第6感が
夫を疑い始めていたように思う。

 

ただ、夫は休みの日には、家族サービスを怠らず
楽しそうにしていたし、夫婦の営みもあったので
不満も解消できていた。

 

私は子供達の行事や、塾の経営に
ただ、一生懸命な日々を送っていった。

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その日も、家族で仲良くお風呂に入り
上がってきたところに

電話が鳴った・・・・

 

先に出た夫が電話を取ったが、何か様子がおかしい。

何故そんな行動をとったのか

自分でもわからないが、私は夫から電話機を取り

耳を当てると、向こうから勢いよく話す

女性の声が聴こえた。

「あかんて!」と叫ぶような夫の声と共に
電話が切れた。

 

暫く。何が起きているかわからず・・・
頭が整理できない。

 

「どういうことなのか」
冷静に聴くには、時間がかかった。

 

彼女と付き合ってもう、1年近くなること
クラブのママをやっていること

 

今、彼女が妊娠していること
を聴かされる。・・・・・

 

衝撃の事実に、何をどうしていいのかわからず

近くにあったのであろうカセットテープだけを持ち

車に乗り込んだ。

何故、カセットテープを手にしたのか
自分でも、後になってもよくわからないが手に持っていた。

1人になって、考えてみたかった。

 

何処へ向かうかもわからず、とにかく車を走らせて
いたが、手に持っていたカセットテープをかけてみた。
そこから、流れてくるのは音楽ではなかった。

 

誰かの会話?えっ!私の声???

 

友人と楽しくおしゃべりしている私の電話の声!
何故?これ何?

 

急に、正気に戻った。

自分の声を聞いて「現実」に引き戻され
ただ、何故このテープに自分の会話が録音されているのかの
1点が、「真実」だった。

車をUターンして、我が家へ帰る。
身体が火照って興奮していて
勢いよく、ドアを開けると

 

そこには、夫の姿は無く
義父が子供達を寝かせ1人で待っていた。

 

義父は私を一生懸命なだめようとしていたが
義父の話も耳に届いては来なかった。

今日は、取り合えず息子は実家に帰したのだ。
義父は時間が必要だと言っていた。

 

義父の静止も聴かず、私は車を走らせて
夫の実家へ向かった。

 

そこには、ぶ厚い布団に寝ている主人の姿があった。
何だか「情けなさ」と「怒り」がこみ上げる。

 

その、義母が敷いたであろう分厚い布団に
守られている夫の姿に
腹が立って自分が情けなくて仕方なかった。

無理やり夫を起こし、このテープは何なのかを聞いた。

 

「真実」は
私の家の電話に盗聴器が仕掛けられていた。・・・
夫と彼女が仕掛けた盗聴器だった。

 

返答のしようもなく無言で、実家を後にした。

 

帰りの車の中で、初めて涙が出た。
大声で泣き叫んだ。

 

「体中が泣くこと」を生まれて初めて知った。